Art Inspirations

素人作家のメモ箱

アートと活字を愛する作家の卵が運営するブログ。

ジャンルを超えて、広義の「アート」から得た様々なインスピレーションやアイデアを文章で表現していきます。
絵画、彫刻、インスタレーション、音楽、ダンス、デザイン、ファッション、建築などなど。


360度の視界|技術の進歩が表現技法の常識を覆す?

 

暇つぶしにYoutubeで360度動画を見ていたら、ふと、宮崎駿監督がとあるドキュメンタリー番組で呟いていたことを思い出した。

細かいところはうろ覚えだけれど、確か、「カメラ技術の発展に伴ってアニメーションの表現方法も変化する」というような主旨だったと思う。

言われてみれば単純な話なのだが、そのときは目から鱗だった。

 

例えば、SFなんかで時間軸が戻るシーンには、逆再生の表現が使われていたりするし、生きるか死ぬかの緊迫した場面や感動的なシーンでは、スローモーションが効果的だ。

魚眼レンズの視点なんてのも、使われていたりするかもしれない。

改めて映像作品やアニメーションの表現技法を見てみると、なるほど、カメラ技術の発展が色濃く反映されている。

 

そもそも、私たちが何気なく見ている様々な映像作品の「視界」は、現実のそれとは歴然とした違いがある。

物語の臨場感や、リアルな心の動きを表現するには、そのまま現実を真似ればよいというものではないのだ。

これは映像に限ったことではなく、小説でも同じで、ただ登場人物の言動や気持ちを説明するだけでは、ただのナレーションになってしまう。

普段私たちが生きていて何気なく感じ取っているものを、いかに効果的な「肉付け」をして表現するか。そこが創作者の腕の見せどころ。

 

前置きが長くなってしまったけれど、

要するに、

最近になって登場した360度カメラの視界も、表現技法に応用できないものかしら?

とふと思ったのだ。

 

実際、360度の視界で鑑賞できるアニメーションは、すでにごまんとある。

では、小説は?

 

これまでは、「主人公が見えていないはずのものを描写するのはNG」というのが基本中の基本だった。

一人称に限らず、三人称一元視点(語り口は三人称だけれども視点は主人公の五感を借りて書く。最近の小説はもっぱらコレ)であっても、ルールは同様だ。

が、もしもこの先、360度動画の視界が当たり前になったとしたら?

情景描写も360度の視界で書く、なんてアリなんだろうか?

これまでのタブーが覆されて、表現技法のひとつになったりするのだろうか?

アリかナシかは分からないが、そうやって文学の未来を妄想してみると、もう絶対的なルールなんてどこにもないような気がしてドキドキする。

 

映像芸術の分野では、早くも視界は360度。

芸術表現の可能性はますます広がっていきそうだ。