Art Inspirations

素人作家のメモ箱

アートと活字を愛するアマチュア作家が運営するブログ。

ジャンルを超えて、広義の「アート」から得た様々なインスピレーションやアイデアを文章で表現していきます。
絵画、彫刻、インスタレーション、音楽、ダンス、デザイン、ファッション、建築などなど。





芸術表現

キュビズム展 美の革命|境界線をゆるがす思想・哲学

大人になって哲学を勉強しなおしたいと思うようになり、最近、手始めに現代思想入門という本を読んでいる。 現代思想入門 (講談社現代新書) 作者:千葉雅也 講談社 Amazon まだ途中だが、今のところ興味深いと思ったのが、ドゥルーズだ。 一部を引用すると、 …

ピカソ 青の時代を超えて|人生と作品について思うこと

これまでの長い美術史のなかで、誰が一番好きかと問われたら、迷わず「ピカソ」と答える。 そのくらい、実はピカソファンなわたくし。 ポーラ美術館の開館20周年記念展『ピカソ 青の時代を超えて』展に行ってきた。 目次 ポーラ美術館開館20周年記念展:ピカ…

川崎市岡本太郎美術館|「爆発」の根源にあるもの

目次 川崎市岡本太郎美術館 モニュメント「母の塔」 館内へ 「夜」と「まひるの生物」 彫刻作品は樹のモチーフが多い 根源にあるもの 番外編:ミュージアムショップ 関連:草間彌生とも通じるものがありそう? 関連書籍 ここ数年、仕事や勉強やいろんなこと…

シュルレアリスムと絵画|思考に風景は必要か?

ダリ、マグリット、タンギー・・・しばしばシュルレアリスム絵画として分類される画家たちの絵を見ていると、思うことがある。 それは、私たちが思考するとき、そこには果たしてどんな「風景」が広がっているのか?ということだ。 そもそも、思考や精神とい…

カタストロフと美術のちから展|わたしたちがアートでできること

アートで、私たちは何ができるか。戦争、テロリズム、天災、人種差別、性差別、ヘイトクライム、経済格差・・・9.11に代表される同時多発テロ事件、そして3.11を経て、社会の変容の只中にある今の時代のなかで、つくるということ、表現するということ。それ…

谷川俊太郎展|人の心はことばに育てられる

詩人・谷川俊太郎さん。 ことばの匠、というとちょっと似合わない、優しくて穏やかで聡明な、ことばのご友人。 今振り返ると、絵本や教科書や、いろんなところに谷川さんのことばが散らばっていて、私は知らず知らずのうちに、この方のことばに育てられたの…

無音の風景

昨日は、大雪による混雑で長時間ホームで待たされ、凍えながらやっとの思いで帰宅した。 あまりの寒さにろくに景色も楽しめなかったのが悔しく、温かい家の中から外を覗いてみたら、見事な雪景色だった。 しんしんと降る雪は、雨と違って音を立てない。 家屋…

アートの集大成「オットー・ネーベル展」から学ぶ創作のヒント

先週末、最終日のオットー・ネーベル展に駆け込みで行ってきた。 少し遅くなってしまったが、色々と学ぶことが多かったので、備忘のために考えたことを書き留めておこうと思う。 www.bunkamura.co.jp 「知られざるスイスの画家」とポスターにもあるように、…

物語の在庫|日常に生じた「溝」をキャッチする

『表現のたね』という本を読んだ。 作家でありミュージシャンでもあり、自称”日常編集家”だというアサダワタルさんの著書である。 この本を買ったのはもう二ヶ月以上も前で、ブックイベントに初めて足を運び、本屋さんとの楽しい会話につられてついつい買っ…

匂いたつ絵画|ヴラマンク展ー絵画と言葉で紡ぐ人生

先日、山梨県立美術館で開催されているヴラマンク展へ行ってきた。 ヴラマンクは、マティスやドランと並んで、フォーヴィズムの画家として知られる。 そのヴラマンクが、画家でありながら、優れた文筆家でもあったと聞き、ビビッときた。 有給休暇の当日朝に…

芸術のはざま|演劇はなぜなくならないのか

先週末、縁あって、ひさしぶりに舞台を見に行く機会があったので、演劇という芸術について色々と考えた。 考えてみると、演劇というものはつくづく不思議だ。 脚本・演出・監督・音響・照明・衣裳・役者と、ひとつの作品を作り上げるのに必要な仕事は映画と…

矛盾と越境|芸術の臨界点をどう超えるか

最近、芸術と言われるものが、総じて頭打ちになっているような気がしてならない。 専門家ではないのでこれは個人的な感覚に過ぎないのだけれど、それぞれの芸術の在り方や定義、あるいはそれぞれの「枠」に納まってきたものが、飽和状態になっている、という…

360度の視界|技術の進歩が表現技法の常識を覆す?

暇つぶしにYoutubeで360度動画を見ていたら、ふと、宮崎駿監督がとあるドキュメンタリー番組で呟いていたことを思い出した。 細かいところはうろ覚えだけれど、確か、「カメラ技術の発展に伴ってアニメーションの表現方法も変化する」というような主旨だった…

日本語で雨を読む

今日の都心は雨。 沖縄・奄美は早くも梅雨入りだそうで、そういえばもうそんな季節かと驚く。 雨ってやだなあ。 ・・・とは思わず、私は結構雨が好きだ。 特に、休日の雨は何だか空気が落ち着いていて良い。 雨音に紛れて喧噪も少し遠のく気がするし、普段は…

芸術の奥行き

今よりもっと五感や感性で小説や絵画を楽しんでいた頃は、漠然と、「奥行き」のある作品だなあ、と感じることがよくあった。 しかし最近は、職業病というのか(といっても相変わらずアマチュアなのだけど)、表現技法とか着眼点なんかについつい目がいき、そ…

『江戸富士』と都心の桜

推敲も終わり、長編をついに完成させてから途端に気が抜けて、サボっていたらいつの間にか4月になってしまった。 桜も満開。 ということで、先日、友人と六本木に夜桜を見に行った。 桜を見てお酒でもひっかけて、屋内のレストランでのんびり食事でもしよう…

絵を描くように書く

詩集を、久しぶりに読んだ。 茨木のり子の『自分の感受性くらい』という詩集。 詩集のタイトルにもなっている詩をいつかどこかで読み、衝撃を受けたのを今でも覚えていて、手元に置いておきたくなって先日購入した。 なんか毎日おもしろくないなあ、最近愚痴…

宇宙と芸術展|思考の幅を広げる魅惑の物件

遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。 本年も、週一くらいのペースでゆるゆると更新してまいりますので、よろしくお願いします。 さて、ということで、休みボケから重い腰をあげて、年明けにさっそく行ってきた美術展の所感をば。 www.mori.a…

エンデ父子の絵画と文学|ジャンルを超えて生み出されるアート

Merry Christmas! さて、クリスマスの今日、九州の実家にいる叔母から素敵なプレゼントが届いた。 叔母はとても料理が上手で、自家製の味噌やお菓子などが詰め込まれた段ボールを時々送ってくれるのだが、今回はその中に、とびきりのプレゼントがまぎれてい…

静寂を表現する

静寂というテーマが気になり始めたのは、やはり絵画の影響が大きい。 ジョルジョ・デ・キリコの”Mystery and Melancholy of a Street”という絵がそのひとつだ。 日本語では「通りの神秘と憂鬱」。 アーチ型の建物が無機質に並ぶ通りを、影の差すこちら側から…